098529 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

どうぶつ畑

どうぶつ畑

暴れん坊やおかまに負ける

坊やおかまに負ける

さて、暴れん坊や君の隔離柵でのひとりぼっち生活が始まった。
今までメスたちと自由に歩き回っていただけに
あまり広くない(といっても某園館に比べたらとても広いぞ!)スペースに入れられ、なんとなく可哀想。
坊やもつまらなそうだ。

だがこのまま坊やを野放しにしていたら
あちこちでメスをはらませてしまうに違いない。
仕方が無い。
種オスの宿命だ。
本来なら群れを取り仕切って力を誇示し
メスを引き連れて歩くのがオスというものなのになんとも矛盾した光景だ。

『彼に遊び相手を』という趣旨ではなかったと言っておこう。
だが彼に遊び相手ができた。
半年ほど年上のシバヤギのオスを彼の柵の中に一緒に入れた。

このシバヤギは去勢済みで角焼き済み。
かたや坊やはバリバリのオスで角有り。
うまくいくか、とおもったがやはり坊やはまだ子どもだった。
仲間ができてうれしそう。
シバヤギの彼に対しても友好的だ。

遊び相手にえらばれたシバは当時確か1歳ほど。
やたら人懐っこくていたずら好き。
噛み癖があっていつも来園者の服のすそをしゃぶっている。
だが大人しくなつこいのでとても人気のあるヤギだった。
がいっつもひとの服ばかりしゃぶられていてはたまらない。
というわけで人出が多いときはいつも坊やと一緒に隔離されていた。

このヤギにはもうひとつ問題点があった。
それは1歳にもなるのに乳離れしない、ということだった。
すでに親と同じ、
もしくは親よりも大きな体で母親の下にもぐりこみおっぱいをしゃぶる。
つまりマザコンだ。
このマザコンっぷりをなおすため、というのも含め
この彼はなんと夜も坊やと一緒の畜舎に入れられることとなった。

彼らは非常にうまくやっていた。
夜も一緒に乾草を食べ、一緒に寝る。
でもまあうまくいっているのは坊やがまだ大人でないからだろう。
もっと大きくなって自我がでてきたら
マザコン君は完全に劣位になってしまうだろう。

 
それでも彼らはそれから数ヶ月という間、うまくやっていた。
が、両方共体が大きくなり畜舎が手狭になってきた。
2頭の間で確定的な順位もついてきたので
坊やは本当にひとり暮らしなった。

体がでかくなると当然タマタマも角もでかくなる。
それにあわせオスの貫禄も出てきた。
毛は油でべとべとになりオスヤギ独特の臭いも出てきた。
頭突きもするようになってきた。

坊やのライバル、黒ヤギ野朗は
このときすでに去勢されおかまちゃんになってしまっていた。
坊やがオトコに目覚めたのとほぼ時を同じくして彼は男を失ってしまったのだ。
哀れなり、黒い奴。

とはいえ去勢したとしても
まだしばらくは現役だったころの元気さが残っているため
しばらくの間は黒い奴も隔離されていた。
暴れん坊やは正真正銘、たった1頭のオスとなったのだ。
これでメスが黒い奴の柵の前ばかりにたまって坊やがひとりきり、
なんてことはなくなるだろう、
逆に今度は黒い奴がぽっちになるに違いない。

わたしの読みは甘かった。
それでもメスたちは黒いのがいいらしい。
坊やはおかまに負けたのだ。
嗚呼、哀れなり、暴れん坊や。
彼に春はくるのか。
そして自我に目覚め、おかまに負けた苛立ちもあってか、
坊やの凶暴化が始まった。

かくして我ら飼育員は毎日のように足に青あざを作る羽目になってしまった。
だがわたしは考えた。
なんとかして奴に勝たねば。
彼に近づくたびに痛い思いをするのなんて真っ平だ!

わたしは考えに考え、奴に戦いを挑むことを決意した。
果たしてわたしは暴れん坊やに勝利することはできるのか!?
以下次回!!

2004年3月7日(日)の日記より



おかまに負けた坊やの次なる相手は・・・。
わたしVS暴れん坊や




© Rakuten Group, Inc.